築50年以上の古民家が魅力的な民泊施設へ変身しました。「古民家ならではの良さは残しつつ、表層を変えてモダンな雰囲気を演出してほしい」という要望に応えたリノベーション事例です。
既存の柱や和の要素を活かしながら、壁紙や床材、家具レイアウトを工夫しモダン空間に仕上げました。
長く住み継いだ歴史を大切にしながら、これからの新しい時間も快適に過ごせるようにデザインしました。「“今までの思い出” + “これからの時間”」を両立させる空間を意識しました。
空間の印象は、「誰が」「どの素材を選ぶか」によって大きく変わります。今回のようにリノベーションの場合は“既存の良さを活かすのか、それとも大胆に変えるのか”を決めることが、空間づくりの大きな分岐点になります。そこから、選ぶ素材や仕上げによって、質感や雰囲気が異なる表情を生み出します。
今回のリノベーションでは、クライアントが「古民家×モダン」というスタイルを選択していたので、伝統的な趣を残しながらも洗練された空間へと仕上がりました。どんな素材を選び、どう組み合わせるか。その選択が、空間の質を決定づけ価値を作ります。
既存の柱を残しながら壁を取り払うことで、広々とした空間を演出しました。
床にはコンクリート調のCF(クッションフロア)を採用し、古民家にモダンなエッセンスをプラスしています。
予算が限られていても、表層にこだわるだけでスタイリッシュな印象を演出できます。
壁紙は、窓が多く窓枠の雰囲気を生かすために、和の要素に合う上質なシンプルを重視。
シンプルだからといって何でもよいわけではなく、“和×モダン”のバランスを考えた上質感がポイントです。
壁を一部撤去し、柱だけを残すことで開放感を高めながら、古民家らしさや和の要素をキープしています。
押入れ隣接のシンクは撤去せず、水栓やまわりの演出を変えることでコストを抑えながらイメージを改善しました。
畳と壁紙を新しくすることで、2階全体を「和の良さを活かしたモダン空間」にアップデートしています。
玄関の床材をリビングの床材とあえて変えることで、“ゾーニング”を視覚的に行いました。
階段まわりの壁紙はベージュ系を採用し、リビングの壁紙より少し色味を足すことで空間に落ち着きを与えています。
1階トイレはタイル調CFの床材と壁紙を張り替え、2階トイレはほぼ既存を生かしつつ小物だけ変えて印象を整えました。 タイル調CFによってリビングとのトーンを合わせながら、和の雰囲気も残るモダンを演出しています。
脱衣所がないため、浴室入り口にカーテンを設置して視線をコントロールしました。
浴室の既存壁は防水仕様の白塗料で仕上げ、下地のタイル感や古さを逆手に取って活かすデザインに。
やみくもに新しくするのではなく「ベースの良さを活かす」という考え方です。